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Memo/2025_06_18_同じ自治体に住んでても州が違うんですか?NZワイタキ地区の事情
Category 大盛マスクのメモ
オセアニア

少し不思議なことを見つけました

ニュージーランドはオセアニアの東の方にある人口五百万人ほどの島国です。身近に感じてる方も多いかと思いますが、この国の地方制度はちょいと特殊です。ニュージーランドの自治体は2層になっています。上の層は(タイトルでは分かりやすさを優先して州と書きましたが)リージョン(Region)と言いまして、日本語だと地方とか地域とか訳される階級となっています。一方で下の層は、都市と地区(ディストリクト)です。まあ(細かい違いに目をつぶれば)市町村くらいのイメージでいいかと思います。

ここまで書くと、あんまり日本と変わりないなぁという感じですけど、ちょっと不思議な点があります。例えば、ワイタキ地区(Waitaki District)の南半分はオタゴ地方ですけれど、北半分はカンタベリー地方です[1, p=12]。日本で例えれば、つくば市の北半分は茨城県だけど、南半分は千葉県だよ……とか言ってるのと同じです。

Waitaki District
Google Map

経緯

何故こんな変なことになったのでしょう?ワイタキ地区はワイタキ川南岸を管轄範囲としていますが、ワイタキ川中上流南岸の渓谷地帯(北部)と、下流から南に広がる沿岸低地地帯(南部)に分かれます。地方(Region)の境界線は1989年に発表されたものらしいのですが、そこでワイタキ地区の北部をカンタベリー地方に、南部をオタゴ地方に帰属させることが決まったとの事です。これによってワイタキ川中上流にあるダム群が、カンタベリー地方単独の管轄範囲となりました[2]。まあ、流域を一つの行政区画で管理できるという点は合理的ですね。一方で、南部は中心都市オマルー(Oamaru)がオタゴ地方の他のエリアと関係が深いという事で、オタゴ地方の帰属となったようです(一部推測)。

それでもオタゴ

では、これで住民が納得しているかと言うと、どうもそうでもないようです。オタゴ地方は1989年に設立されたものですが、1853年から1876年にはオタゴ州(Otago Province)がありました。。州が廃止されてからも、ワイタキ地区あたりは北オタゴと呼ばれていたそうです[2][3]。そして、カンタベリー地方に帰属するとされたワイタキ地区北部の人々もオタゴであると認識しているというワイタキ市長のインタビューがあり[3],「地方」の境界線はワイタキ地区の境界線でもあるワイタキ川こそ相応しいというとしています。実際、地図を見てみますと、150kmほどの長さのワイタキ川に、橋は3本しかかかってないのです。これでは、幾ら「同じ流域だから同じ地域だ」と言われても地元としてはなかなか納得しづらいように思えます。

まあこういう経緯を考えますと、本サイトで扱うエリア区分としましては、ワイタキ地区全域をオタゴと扱うほうがいいような気がします。

参考文献

[1] WAITAKI DISTRICT COUNCIL INFRASTRUCTURE STRATEGY
https://www.waitaki.govt.nz/files/assets/public/v/1/files/our-council/consultation/2021/ltp-2021-2031/draft-long-term-plan-2021-31-infrastructure-strategy.pdf
WAITAKI DISTRICT COUNCIL
[2] 1989: Local body boundaries announced
https://www.odt.co.nz/1989-local-body-boundaries-announced
Otago Daily Times
[3] Cantabrian designation a headache
https://www.odt.co.nz/star-news/star-districts/star-south-canterbury/cantabrian-designation-headache
Star News